偽装請負って、どんなこと?
NIKKEI NET のBIZ+PLUS 人事連載企画
第1回 「偽装請負」で揺れる人事管理のあり方(2006/11/08)
丸尾拓養弁護士の記事が出ています。
専門家の方の解説は本当にためになりうれしい限りです。
考えるきっかけを与えてくれます。
一部抜粋しながら私の考えるところを雑に記します。
(総務屋として、捨て置けない問題なので)
<ポイントを要約>
1.そもそも偽装請負ってなんなのか?
(1)偽装請負とは、実質は労働者派遣であるのに、
契約の形式は「業務処理請負」であるもの。
(2)実質が労働者派遣である以上、法的規制としては
「労働者派遣法」の適用を受ける。
(3)具体的には、対象業務や期間の制限、直接雇用契約申込義務、
派遣先責任者の選任、派遣業登録等が「労働者派遣法」
の適用を受ける。
2.何で今頃こんなに問題になっているのか?
(1)今夏以来、偽装請負に関する報道が続いている。
新聞だけでなく経済誌やテレビでも特集が組まれている。
偽装請負に関する行政の動きは、一昨年秋ころから
東京労働局をはじめとして積極的となっている。
突然の問題ではない。
(2)そもそも2004年3月の「労働者派遣法改正」で、
「製造業務への労働者派遣が解禁」された際に、
厚生労働省が偽装請負問題に対応することを
国会で明確に答弁している。
(3)近時の報道により企業が過敏に反応している面もあるし、
人事と資材購買との狭間の問題でもあり、
経営企画部門やコンプライアンス部門が
担当していることが影響しているのかもしれない。
3.偽装請負問題への企業の対応はどうなっているの?
(1)実質が労働者派遣であるか否かの区分について
法律上の明文はない。
(2)厚生労働省の告示及び業務取扱要領で定められている。
(3)これによると、「業務処理請負」と区分されるためには、
「労働者を直接利用しない点」と、
「機械設備等を自己の責任で準備する」などの
「業務を独立して処理する点」の2点が重要となっている。
具体的には、9つすべての要件をみたす必要があり、
1つでも欠けると労働者派遣法が適用される。
どこが偽装で、誰が得するのか?
<ここからが私の見解>
まー、私的には、「偽装請負」ってのは企業の苦肉の策。
正社員を削減するが為の便法としてか捉らえていません。
本来、正社員で雇ったほうが、忠誠心もあり、よく働くはずです。
しかし、コスト削減はすなわち固定費である人件費削減をもたらします。
アウトソーシング、派遣であれ請負であれ、人件費をあたかも
変動費化することにより
固定費とする必要がなくなるのです。
企業の社会的責任(CSR)が問われるようになっています。
遵法は、企業活動の基本です。
資源のない日本。
この日本が生き残るためには何が必要なのか。
やはり、日本は産業の輸出国として生き残るしかないのではと思っています。
これは、製造業に限らないことですが、付加価値を高めて、日本でしか作れないものを作って生き残ることが必要です。
中国、インドをはじめとするBricsやベトナム、タイなどの東南アジア
諸国と同じ品質のものを作っていては価格競争で太刀打ちできません。
私の勤務する会社はシステムLSIの設計・開発を担当する会社です。
日立と三菱電機の出資している半導体メーカー系列なのですが、中国やインドに製造ばかりか設計までもシフトしています。
私たちが抱える問題も、まさにレーバーコストの問題、
いわゆる人件費の削減の問題なのです。
損益分岐点を確保することが命題の企業にあっては、
この人件費問題は、まさに、経営施策の根幹であり、
人事施策そのものです。
この海外シフトの流れは止まらないが、国内での生き残り
もまたひとつの課題である。
企業の遵法と経営施策の折り合いをいかにつけていくのか
経営者の手腕が問われるところであり、
それを支える人事部門の良心が問われる問題である。