総務課員のひとりごと

ラグジュアリーマイラー総務課員のひとりごとよろしくお願いします。

小児科医の現状

小児科医の確保が難しい現状は、医師たちも気がついていますし、発言もしています。

日本小児科学会
小児科医確保に関する提言
http://www.jpeds.or.jp/saisin.html


なのに、なかなか実現しない。
また、安心して「医療を受けられる」体制が整備されていない。
地方になるとまったく小児科のいない地域もあるなど、都会と地方の問題のような、地域での格差もある。

e-mama子育てを応援するコミュニティーサイト
いっしょに考えよう、小児救急医療のこと
http://www.e-mama.ne.jp/more/kinkyu02/index.html

さいわい私の住んでいる地域には、何件か開業医の小児科医が居られるので、かかりつけ医があります。それでも、夜間(特に19時以降)に子供が急変すれば、地域の小児救急センターまで走り回らばなりません。

我が家の病気の対応の基本は、親の体調はいざ知らず、子供の体調管理が先決事項です。
(子供が熱を出すと保育園に行けない=「親が仕事を休む」なので。)

子供が病気になる(特に37.5以上の熱を出す)
→母親は急な勤務変更は不可のため、父親が休む・病院に連れて行く。(これでとりあえず急場が凌げる事が普通)
→それでも熱が下がらないと、母親の勤務調整に入る。(母親の勤務調整がつくようなら、父・母交代で休む)
*特にインフルエンザや、流行性・感染性のある病気は、長期に休まざるを得ないので困りもの。


小児科医の問題は、これだけ社会保障が進んでいる日本にあって、まるで「空洞」のようにぽっかりあいた風穴のような気がします。
本当にこの国は、将来像をどう描いているのか。「政治ごっこ」に明け暮れて、ほんとにやらなければならないことに手がつけられていないのでは。
子供たちのために、今、大人たちは何をしなければいけないのか、走りながら考えたいと思います。


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■■ 小児科医確保に関する提言─より良き小児医療実現のために─
       

 近年、わが国の少子高齢化は急速に進行し、大きな社会問題となっている。政府も国家の存亡をかけて少子化対策に乗り出そうとしている。少子社会では、こどもを心身ともにより健康に育てるために社会的にも小児科医の活動がますます必要とされている。しかし、小児科医の数は、一時減少した後最近緩やかな漸増傾向にあるとはいうものの、このような社会の要請に応えるには必要数を満たしているとは到底言いがたい。来世紀の日本を担うこどもの健全な発育のために、日本小児科学会ではこの現状に重大な危機感を抱き、国を挙げてその対策に取り組むべきと考えている。そこで、日本小児科学会は、小児科志望者が減少した理由として考えられることとその対応策を以下のようにまとめた。今後、これらについて具体的な取組を講ずる。
(1)小児科医の需要についての誤解
 少子高齢社会の到来ということで、こどもの数が減り、小児科医の需要が減少してきたかのような誤解が持たれている。しかし、実際には少子社会にあって、少ないこどもを大切に育てるという傾向が強まり、かかりつけ医として小児科専門医を選ぶ親が増えている。また、近年マスコミでもさかんに取り上げられているように、小児医療の充実を希望する声は高く、昨今わが国では住民に対する地方行政サ−ビスの一環として昼夜を問わぬ小児医療の提供が掲げられている。これに対する地域住民の要望も極めて高いものがある。それに加えて、地域保健・学校保健に寄与する小児科医の役割や社会的影響力が医学生にはまだ十分理解されていない。
対策:
 われわれ小児科医は、次世代を担うこどもたちに対して果たすべき小児科医の役割を明示し、欧米にみられるような小児科医への期待度を医学生に伝達する必要がある。
(2)小児科医の仕事が厳しいと思われていること
 小児科は元来総合診療の要素が高い診療科であるが、内科と同様な広範囲の疾患領域を少ない人員で対応しなければならない状況にある。つまり、内科では、呼吸器科、循環器科、消化器科、神経内科、血液科などに細分化されており、それぞれに十分な数の医師が配分されている。それに対して小児科では少ない人員でこれら全てをカバーしなければならない。さらに日常診療では習熟度の高い手技が要求されることも多く、このため医学生には非常に忙しく難しい職場であるという先入観が持たれている。
対策:
 仕事が厳しいと言われる所以は小児科医が不足していることによる構造的な問題であり、小児科を目指す学生が増えればもっと余裕を持った勤務態勢が組めることになる。また小児科が難しいと言われるが、特殊性が高いからこそ、より必要とされるわけであり、誇れるキャリアとなる。小児科はこどもの成長と発達とを総合的・全人的に見守る科であり、小児科医は次代の日本を背負うこどもを健全な成人に育て上げるという使命を担っている。かつて言われた3Kではなく、3Y(夢、喜び、やりがい)で象徴される科であることを、医学生、若い医師らに知ってもらう必要がある。
(3)小児科医師の定員増と研修施設の充実
 大学や総合病院では小児科の医師の定員は多くなく、このことも志望者減少の一因と考えられる。また卒前・卒後教育でも小児科は細分化されて専門化が進み、広範な専門分野を擁しながら、わが国の小児科学教室は先進諸国と比較して教員層が手薄である。優れた小児科医を多数養成するためには、多数の教員が必要となり、同時に病院小児科の定員数を増やし活動性を高く保つことが重要である。また、まもなく実施される卒後臨床研修を含めて研修医に対する指導を十分に行うためにも、大学・一般病院の小児科常勤医の数を増やす必要がある。
対策:
 医学生や研修医がこどもの保健・医療を学ぶためには、諸外国にみられるように総合的なこども病院を教育機関と位置づけて大学内に設置することが望ましい。また総合病院では小児病棟の充実が必要である。また総合診療部、救急医療部にも小児科医の定員確保が必要である。そのためには、大学や病院の理解と、経済的なバックアップが重要である。
(4)小児科特に病院小児科の採算性確保
 小児科志望者が減っている大きな要因のひとつは、経済的な理由である。疾病構造の異なる成人中心の現診療報酬体系下では、小児科の収益性は相対的に低く押さえられている。小児医療の専門性・特殊性は現行の健康保険制度では正当に評価されているとは言いがたい。一部の病院で小児科医の数と小児病床が減っている理由として小児科の利潤効率の低いことが挙げられているが、そもそも他科に比べて採算性が低いこと自体が問題なのである。一般的には現在の診療報酬体系では、こどもの数が減ればますます経済的に苦しくなる。医師も例外ではないが、どの職種であれ最近の若い世代は、経済的安定や個人・家庭の生活を快適に保つことに固執する傾向にある。
対策:
 小児医療の技術・看護の高い専門性を認めて採算性を保障すれば、救急・新生児医療を含めてわが国の小児医療の将来性は豊かなものになることと期待される。このことを訴えて、診療報酬制度の根本的な見直しと、地方自治体、その他公的機関からの小児医療に対する経済的サポート体制を構築していく。
(5)女性小児科医師の労働環境整備
 医師を目指す女性の数は増えており、特に小児科医ではその傾向が顕著である。このため中堅として活躍すべき世代の小児科医で女性の比率は近年ますます上昇している。しかし、これら女性小児科医師のおよそ1/3が育児や家事のために小児科臨床の現場を離れているのが現状である。いまや女性医師の力が十分に発揮できる環境を整備しなければ小児科は成り立たない。
対策:
 このためには子育て支援(産前産後の休業や育児休業の確保、保育施設の確保・充実、0歳児保育、延長保育・24時間保育・病児保育)が必要である。また、休業期間を補てんする意味でも小児科医の増員が必要である。さらに、育児休業を終えたあと再就職を希望する場合にはその機会を与え、職場復帰が支障なくできる環境整備が必須である。

平成12年11月12日
日本小児科学会理事会
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