総務課員のひとりごと

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国際飛行場といえばどっち? (成田or関西) 私は大阪国際空港(伊丹)です。

国際飛行場といえばどっち? http://www.dotcheez.jp/vote_view/142

成田との比較なら、関西としては関空を押したいところですよね。

今回、関西空港には第2滑走路が完成して、
やっと完全24時間空港としてこの秋から動きだします。
第2滑走路ができて何が変わるの?

アジアのハブ空港として、がんばるとの関空会社社長の話がありました。

国際的には、東南アジアにタイ国際空港
(新しいバンコクの玄関口「スワンナプーム国際空港」)とか、
シンガポール国際空港(チャンギ空港)がありますよね。

タイの新しい空港には行ったことありませんが、
シンガポールの空港には行ったことあります。

人やものを動かしてこようとするのなら、
離陸発着料金を下げて、
利便性を増す必要がありますね。

それと空港にだけ来るわけじゃなくて、
その周りの都市に何らかの必要性があって
くるのでしょうから、空港の周りに商圏が
ないといけませんよね。

それを考えた時に、大阪国際空港伊丹空港)は
池田市豊中市伊丹市に隣接しており、
大阪(梅田)への交通の便がとっても良いです。


関空から池田に帰ってくるには2時間近くかかって、
羽田から関空まで飛行機に乗ってる1時間よりも
陸路の時間のほうがかかっちゃうって構図です。


それと関空は「陸の孤島」です。
台風の時には使えません。


平常時でも、東京から関空行き最終便で関空についても、
23時過ぎ到着となろうものなら大阪まで帰るのは一苦労です。

終電がないし、家まで帰り着かないので、最悪
関空に泊まらないといけない事態になっちゃいます。


国内線は伊丹空港神戸空港との取り合いですよね。

関空は国内線が思ったほど延びていない。


国際線ばかり誘致しても、そのあと国内線がうまく
連結されていないとハブ空港としての役割を
果たせないのが本当のところでしょう。


池田市在住、伊丹市に勤務するものとしては、
大阪国際空港伊丹空港)が一番便利良いです。


東京に行くにも、福岡に行くにも、札幌に行くにも
伊丹発で飛行機で行けるのは大変便利。


ヨーロッパやアメリカの国際線は関空からでOKです。

せめて短距離の国際線の直行便は
大阪空港発にしてほしい。

観光地のグアムやサイパン、東南アジア諸国
あたりは大阪空港発で組みなおしてほしい。

国土交通省は誰を見て政策を決めてるんですかね。


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以下の論文は羽田と成田を比較したものですが、伊丹と関空の関係も分析しておられて参考になります。

加藤一誠(かとうかずせい)
同志社大学経済学部卒、博士(経済学)同志社大学
専門分野:交通経済


<抜粋>

空港の運用に対する価格政策の導入
日本大学経済学部教授 加藤 一誠

1.はじめに
関西国際空港関空)は,空港の開業以前にアクセス鉄道が整備される珍しい例であった。建設前から和歌山県境に近い大阪南部の沖合5キロという立地には不安があり,アクセスの整備は重要視されていた。近畿の人口重心は北に寄っており,大阪空港(伊丹)には関空に比べて立地上の優位性がある。近年における国内線利用者の関空離れは,地理的な優位性を覆すことができなかったことを意味する。利用者の減少によって関空の国内線便数は減少し,国内際の乗り継ぎの利便性という関空の当初の宣伝文句は空文化した。関空の「地盤沈下」は,当局の関西地域における航空政策が動揺する契機となった。
関空は24時間運用可能という点でも画期的な国際空港であった。しかし,現在深夜便として利用されているのは午前1時すぎにタイに向かう1便のみで,貨物に比べて夜間の定期旅客便の定着は容易ではないことがわかる。空港は空港のみが機能していても意味はなく,後背地の都市機能やアクセスの運用に依存する。深夜便は何よりも搭乗者が深夜の移動を強いられる。深夜移動は空港までの渋滞がないというメリットはあるにせよ,タクシーの割増料金の負担もあり,家族が自家用車で見送る場合の負担も小さくはない。
このような例は,利用者の視点から離れた理念なき行政の弥縫策への警鐘である。空港利用者にとって重要であるのは,総移動時間の短縮や移動コストの最小化であり,伊丹と関空の選択は,利用者が経済原則にしたがって移動することを実証している。
2009年の成田空港(成田)と羽田空港(羽田の拡張にあたっても,利用者の視点のない分担政策は利用者に余計な負担をかけ,ひいては航空需要にも影響を与える。空港に十分な容量があれば,航空会社の希望する路線が設定できることが望ましい。なぜなら,それは航空需要を反映しているからである。二国間協定やその他の様々な理由でそれが不可能ならば,望ましい姿をできるだけ歪めないような空港政策をとるべきである。
この小論の目的は,関西圏の経験にもとづいて利用者による成田空港(成田)と羽田空港(羽田)に対する旅客の選好を類推し,今後の羽田の運用を考えることにある。

2.関西国際空港の教訓
成田−羽田と関空−伊丹の関係の共通点を利用者の視点からみて,要約しておこう。
(1)空港利用者にとって立地上の劣位にある空港(成田と関空)は国際線に利用され,立地上の優位にある空港(羽田と伊丹)が主に国内線に利用されている。
(2)立地上の優位にある空港の利用には何らかの抑制策がとられている。
しかし,首都圏の航空需要は関西圏のそれとは比較にならないほど大きい。2004年の海外旅行者のうち56.2%にあたる946万人が成田を利用し,関空利用者は22.3%にあたる376万人にすぎない(『JTB Report 2005』)。第2滑走路の延伸がなければ成田は国際線だけで満杯で,関空第2滑走路の需要に不安がもたれる状況とは大きく異なる。
国土交通省大阪航空局は,関西空港と大阪空港のアクセス調査報告書(後掲の文献リストの〔5〕)を平成12,13年の2年間にわたって公刊した。特に平成13年報告書は関空と伊丹のみを対象とし,利用者にさまざまな質問を行なっている。
図は,調査項目の1つである「空港を利用した理由」を示したものである。関西から国際線を利用する場合,利用者には関空以外の選択肢はない。そこで,まず国内線(出発)の選択理由に注目する。関空と伊丹の選択理由のうち,最大のものは「時間・距離が短い」であるが,そのシェアは伊丹の国内線(出発)では58.1%であるのに対して,関空のそれでは39.5%にとどまる。
理由項目のうち,積極的に当該空港を選択したものは「時間・距離が短い」「乗り継ぎが少ない」「費用が安い」であり,その他の項目は何らかの制約によって当該空港を利用した結果とみることができる。この基準にもとづいて2つの空港をみると,伊丹の国内線(出発)のうち,積極的選択は64.0%であるのに対して,関空の場合,それは27.0%にすぎない。大阪市内から関空までは1時間程度で到着できるが,多くの関西人にとって和歌山県境という心理的距離の克服は難しいのが現状である。
羽田と成田の関係について,われわれは関西圏の経緯からひとつの教訓を得ることができる。関空は国内線と国際線の乗り継ぎが便利な空港としてスタートしたが,現在もっとも需要不足が顕在しているのは国内線である。つまり,国内線がふたつの空港から出発する場合,利用者は経済原則にもとづいた空港選択を行なうということであり,航空政策が空港の基礎的な条件を変えることはできないのである。国内線は飛行時間が短い分,アクセス時間の多寡が利用者の空港選択行動を左右する。
しかしながら,羽田と成田が国際線を提供した場合も,利用者は時間も含めた移動コストの最小化という経済原則にもとづく行動をとる可能性が強いと考えるのが妥当である。しかも,羽田には多数の国内線があり,国際定期路線を開設すれば,国内際の乗り継ぎはきわめて至便になる。
2010年度には成田高速新鉄道が開業予定であり,都心から最速36分で成田に到着できることになる。しかし,空港が千葉にあるという心理的な障壁は残る。北京に向かう東京都内居住者は航空機で西に向かうのにもかかわらず,いったん陸路で東にある千葉県に行かねばならない。地図を思い描く人であれば,これが障壁でないわけがない。したがって,現在と同じ条件で羽田から国際便が離発着すれば,少なくともアジア便にかんしては,羽田は積極的選択,成田は消極的選択になってしまうだろう。しかも,近距離国際線であればあるほど全移動時間に占めるアクセス時間のシェアが高まることから,羽田に優位性があることは言うまでもない。
ふたつの空港の拡張を機に,空港政策をいったんリセットするのもひとつの選択肢である。これまでの歴史的経緯があるにせよ,既存の枠組みや権益をそのままにしておいてそれを後世に残すのではなく,2009年を契機に全面的に見直しを行なうことを検討したらどうだろうか。もちろん,乗り入れを希望する航空会社がすべて希望する空港に乗り入れられるとは考えられないから,何らかのルールが必要となる。それは市場における決定をできるだけ歪めないルールであるべきである。

3.プライシングによる空港選別
3.1 利用者による選別
日本の航空政策はおもに空港の離発着便数,言い換えれば量の規制を中心に運用されてきたといってよい。公害問題を理由としているにせよ,伊丹と関空に対する政策はその典型である。羽田の第4滑走路の建設によって発着枠が増えれば,量の規制はかなりの程度緩和されることになる。
そこで,関西圏も含めた日本の空港政策に利用者の留保価格(利用者が支払ってもよいと考える価格)にもとづく価格政策を導入することを提案したい。羽田と成田から同条件で国際線が離発着するとなれば,人口や産業集積地の都内にあって心理的障害も小さい羽田利用者の留保価格は大きくなる。航空会社も羽田発の国際線に成田発のそれより高い運賃をつければよいから,ふたつの空港が航空会社に課す着陸料や使用料に差のあることは合理的である。
例えば,時間価値の高いビジネスマンは料金が高くとも羽田発の便を利用するだろうし,時間に感応的ではない観光客は成田発の便を利用することになろう。これは市場をつうじた空港選別であり,利用者の意思でもある。
政策の基本は着陸料や駐機料などの使用料の差を明確にし,乗り入れ希望の航空会社を公募する,いわゆるスロットの入札制の導入がのぞましい。これは,市場原理そのものであり,当局や空港会社は空港を高く評価する航空会社を選択するだけでよい。これまで,さまざまな理由から入札制が導入されなかったが,このたびの発着枠の見直しを契機として,空港の利用者である航空会社の留保価格を明らかにすることは,公共事業の評価にもつながる。ペリメーター(距離制限)の存廃の議論はその次の段階となる。
価格政策を導入する効果は他にもある。都心から成田へのアクセス整備は,現時点では成田に好影響をもたらすと考えられているが,そうとは言い切れない。つまり,アクセス整備によって利用者が成田につける留保価格は上昇するだろうから,成田の着陸料を上昇させることもできる。しかし,同時に成田と比較した羽田の相対価格は低下することを忘れてはならない。そして,千葉への移動という心理的な障壁だけが残る。利用者がこのマイナスを大きく評価すれば,収入の増大を目的として着陸料を上げることは難しいだろう。
3.2 「後出し」ではない価格政策
いまひとつは,空港当局は価格政策の導入を正々堂々と行なうべきで,少なくとも利用者に成田振興のための価格操作であると感じられるような「後だし」はするべきではない。当局は政策の透明性の向上という理念を前面に出すべきである。
昨年,国土交通省は伊丹の環境対策費の削減分を利用者負担とすることを公表している。航空会社は運賃に転嫁することになるから,これは実質的な価格政策である。筆者は理に適った価格政策自体に反対するものではない。しかし,この政策は伊丹の発着便数の抑制とともに出されたもので,関空利用促進策の一部としか考えられず,明らかに社会的余剰を損なう。
また,空港整備特別会計(特会)の一部である環境対策費を特定の空港利用者の負担にするというのは,対策費の一部のみの受益と負担を伊丹だけで一致させることになる。他方で大阪空港の収益は明らかにしないまま,環境対策費の負担のみを求めるというのは,政策の矛盾である。これまで空港別の収支を明らかにしなかった特会の根幹を揺るがすのではないか。
羽田に価格政策を導入する場合,それが成田との立地の差を反映した政策であることを利用者に説明し,理解を得たうえで新滑走路の運用と同時に導入するべきである。ただし,現行の制度のもとでは羽田の整備費用を理由にすべきではない。もし,整備費用を理由にするのであれば,これまでの地方空港の整備はすべて地方空港の利用料でファイナンスされなければならないからである。
日本では成田と関空を除けば空港別の収支が明確にされておらず,これが日本の空港政策を不透明にする最大の要因である。ふたつの空港が拡張される2009年は政策の透明性を高め,公共事業の評価を行なえるチャンスである。また,特会の議論もはじめるべき時である。

4.深夜・早朝時間帯の定期旅客便の導入
深夜・早朝時間帯の利用を考えるとき,海外の事例からみても貨物便をターゲットにするのは有力な選択肢である。しかしここでは,東京という後背地の性格を考え,旅客便の可能性を検討する。国内線の深夜便需要は限定的であるから,国際線の深夜便を考えていく。
まず,深夜定期旅客便の就航のためには,いくつかの条件をクリアしなければならない。しかし,ここでも価格政策が最良の選択であることは言うまでもなく,距離制限はないことが望ましい。その理由を考えていくことにしよう。
まず,運航を担当する航空会社に利益をもたらせるかという点である。現実には羽田出発の深夜直行便の場合,目的地は限られ,オーストラリア,東南アジアおよびハワイが頭に浮かぶ。中継空港をつくるとしても,国内以外の中継地において旅客を乗せることは,着陸料の支払いを考えれば実現の可能性は低い。それに比べて早朝出発便の目的地は,到着地における活動時間のみを考慮すればよく,アメリ東海岸やヨーロッパにおけるビジネス需要が多いと考えられる。したがって,早朝出発便を拡大することが望ましい。
他方,到着便の場合は,相手の出発空港における駐機時間の多寡はあるにしても,いろいろな可能性が考えられる。羽田に早朝に到着すれば,すぐに仕事場に向かうことができるし,深夜に到着してもタクシーを利用すればよい。あるいは,空港で1,2時間待機し,早朝のモノレールで帰宅することもできる。東京は他の都市と比べ都市機能の止まる時間がきわめて短い。このような地の利を生かすためには,早朝出発便と深夜・早朝の到着便が有力な選択肢となる。
いまひとつは,千葉県が憂慮する陸地への騒音であるが,この点については2009年以降の滑走路の運用が不透明であり,推測の域をでないが,次のように考えることができるだろう。もし,深夜便と早朝便に新滑走路を使えば,騒音の問題は大きく緩和されるだろう。しかし,2500メートルという滑走路長を考えると,アメリ東海岸やヨーロッパ路線の離陸は難しい。したがって,深夜,早朝の到着便と近距離国際線の出発に最大限利用するのが摩擦の少ない方法だと考えられる。
しかし,利用者の需要をみると,昼間の中国を含むアジア線の需要をどうするかというのが根本的な問題として残る。旅行者の目的地をみると,1995年に19.1%であった東南アジアのシェアは29.0%に,4.4%であった中国のシェアは10.7%へと増加した。欧米やハワイのシェアの低下とは対照的に近隣諸国への航空需要の相対的な重要性が高まっている。年齢別にみると,東アジアのように学生層でシェアを落としている地域もあるが,中国はすべての年齢層でシェアを拡大している(『JTB Report 』)。
これは,ペリメーター(距離制限)の取り扱いとの関係になる。距離制限があれば,羽田〜上海便は就航可能であっても,東南アジアはもちろんのこととして,羽田〜北京や羽田〜台北でさえも難しいとされる。羽田の容量が増加したとしても,国際線の発着枠は有限であるし,乗り入れを希望するすべての航空会社が羽田便を希望便数だけもつことはできない。つまり,混雑を理由にした何らかの量の規制は残ることになる。しかし,羽田の国際機能の復活のなかで,少なくとも夜間早朝の非ピーク時にはペリメーターを撤廃するのが合理的である。

5.おわりに
空港政策は利用者の利益を第一に考えるべきである。首都圏では航空需要が十分あり,筆者は成田と羽田とあわせた国際線需要がいっそう増加することが利用者にとって望ましいと考えている。しかし,成田と羽田が拡張されたとしても将来にわたって十分な容量が確保できるかどうかはわからない。そのために,この小論では理念をもった価格政策の積極的な導入を提言した。
2009年以降,羽田については新滑走路を積極的に利用し,深夜,早朝の到着便と近距離国際線の出発便に振り向けることが考えられる。便の設定は需要に応じてなされるべきで,深夜早朝に需要があるならば,その空港に便を設定するのが妥当である。しかも,それが後背地に東京をもつ羽田であり,効率性の観点だけではなく,海外との人や財の流動が多くなるのだから,日本経済にとっても推進すべきである。
ただし,このような羽田利用策の実現が短期的になされるかどうかはわからない。最後に鉄鋼業の経験を述べ,理想的な航空政策が実現されるまでの期間について指摘しておく。
鉄鋼業は航空産業と同様に,施設に対して莫大な固定費を必要とする産業である。20世紀初頭までは,輸送費を最小化するため,工場の多くは原料地付近に立地した。その後,原料が枯渇し,海外からの輸入原料に依存しなければならなくなっても,すぐに工場立地は変化せず,一定期間をへて臨海部立地へと変化していった。それは既存ストックの量が大きいために工場を破棄できず,生産を続けるという,立地慣性といわれる現象である。
つまり,ここで述べたような理想的な航空政策は,航空会社の理由によって短期間には実現されない可能性がある。なぜなら,航空会社がストックの調整や新規投資を要する羽田の国際化シナリオを一挙にすすめるとは考えにくいからである。しかし,航空需要の大きさは航空会社を動かすだろうし,それに応じた政策がもっとも望ましいものであることは間違いないところである。